Game*Sparkのスタッフが気になるタイトルをピックアップしてご紹介する“気になる*Spark”。再び時間が空いての復活となる今回は、2018年10月12日にSteam早期アクセスを終了し、正式版になったばかりのハードSF宇宙交易シム『Helium Rain』をご紹介します。
フランスのインディーデベロッパーDeimos Gamesが、総開発期間4年、早期アクセス1年を経てリリースした本作。舞台となるのは、地球より24光年先のガス惑星「Nema」周辺宙域です。
「Nema」の月が念願の人類が居住可能な環境であると観測した人類は、世代船(宇宙船内にアーコロジーを保持し、複数の世代に跨るほどの長期間の航海を行う船)を用い、光速の20%の速度で123年に渡る航海を経て「Nema」へと到達します。
しかし、「Nema」の月は人類が当初観測していたものと異なり、人類の居住が不可能な環境であったことが判明。地球への帰郷を目論む一派との内戦の末に母船は崩壊し、もはや帰る術を失った移民団は企業主体の宇宙ステーション生活へと移行、営みを続けていくことになるのでした……。
このようなバックストーリーで展開する同作は、このステーション間の物資を結ぶ輸送・生産業者となって小型宇宙船一隻から自身の会社をもり立てていくことが目的の宇宙交易シムです。プレイヤーは、ただ自身の宇宙船を駆り、物資の交易を行うだけでなく、部下船や艦隊を作成し、自動交易を行わせたり、活動を通じて様々なテクノロジーをアンロック、各種ステーションの建造などを行うことも可能となります。
ゲームに登場するステーションはダイナミックに制作され、登場するライバル企業たちも実際にゲーム世界でプレイヤー同様に活動します。各企業はプレイヤーとの関係を持っており、仲良くするだけでなく、時には戦争状態に陥ることも。なお、戦争では、敵のステーションの破壊だけでなく強奪などもできます。
戦闘や飛行はニュートン力学がある程度効いたスタイルで、必要以上に加速した場合には制動が間に合わず明後日の方向へ飛んでいってしまうことも多々。全体的にハードSFな同作ですが、戦闘は船に搭載した武装を比較的近距離で打ち合うドッグファイトが基本。
いくつかのSF作品で見られるような、数時間~数日先の敵航路に砲撃を行うような仕組みではないので、複雑なプレイに不慣れな人も一安心です。なお、月と月の間など宙域間の移動には数日を要する設定ですが、移動時は一瞬で時間を飛ばすことができるため、広域マップ移動時のタイムスケールと実際の宙域でのタイムスケールが異なることだけ覚えておけば良いでしょう。
ゲームが開始するといきなりプレイヤーは輸送用シャトル一隻で宇宙に投げ出されることになります。早速いろいろなプレイを試したくなるところでしょうが、まずはF8キーを押し、テクノロジーの中の「オートドッキング」の開放を行いましょう。本作は進行上、目的地へのドッキングの繰り返しになるゲームですが、手動ドッキングでは位置速度角度などの項目を慎重に合わせる必要があり、なかなか神経を使います。自動ドッキングの導入はゲームが非常に快適になるのでおすすめです。オートドックは対象の詳細を開いた状態でドックボタンをクリックするか、Pキー(デフォルト)で利用可能です。
その後はチュートリアルに従いゲームを進行することで、必要最小限のゲームプレイについて学ぶことができます。それ以外の行動は、基本的にはフライトや戦闘そのものに関連する行動以外は、右クリックやF1~F9キー、ESCキーから利用できるメニューより選択すると覚えておけば良いでしょう。
本作では戦闘はそこまでは重視されていませんが、本編とは別にスカーミッシュモードも搭載されており、任意の戦力同士での戦闘を体験することも。本番の練習だけでなく、気軽なドッグファイト用途でも楽しめます。
同類の人気タイトル『X』シリーズなどと比べると、特定の惑星周辺のみを舞台にした作りかつ、船の種類も全13種(内輸送船5種)、交易や生産のリソース類についても最小限の作りと、全体的にコンパクトな作り。しかしながら、シンプルかつ美しい雰囲気を持ち、生きた世界での交易要素に特化した、非常にまとまった作品となっています。宇宙や、NPC部下を率いての会社経営、AI相手の交易競争といった要素に心躍る方はチェックされてみてはいかがでしょうか。
『Helium Rain』はWindows/Linux向けにSteamで1,480円にて配信中です。本作はModや学習用にソースコードを公開中で、Githubよりアクセスできます。
“気になる*Spark”では、今後も新作ゲームや話題の作品を取り上げていく予定です。ご意見・ご感想はもちろん、読者の皆様が気になっているタイトルもぜひコメント欄にお寄せください。
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