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事件を解決に導くのは、現場の証拠か自身の直感か…本格的な犯罪捜査が楽しめる『Scene Investigators』【プレイレポ】

慎重な証拠収集と証拠を活用した推理が楽しめる、骨太で本格的な犯罪捜査ゲームです。日本語にも対応!

連載・特集 プレイレポート
事件を解決に導くのは、現場の証拠か自身の直感か…本格的な犯罪捜査が楽しめる『Scene Investigators』【プレイレポ】
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※本記事には作品序盤の解答、ネタバレが含まれますので、閲覧の際はご注意ください。

一流の捜査官に必要な素質とはいったい何でしょうか。どんなに小さな証拠も見逃さない観察眼か、あらゆる証拠を活用して答えを導く洞察力か、あるいはその両方か、…。少なくとも、犯罪捜査ゲームScene Investigatorsではその両方が求められます。

カジュアルに複数人でも楽しめる「謎解き」推理ゲームというジャンルのなかでも、骨太で本格的な捜査を楽しめる本作の魅力を今回はご紹介します。

『Scene Investigators』とは―「70/30の法則」で導く答え

『Scene Investigators』は『The Painscreek Killings』で知られるEQ Studiosの手掛けた本格犯罪捜査ゲームで、プレイヤーは捜査官志望の研修生となってあらゆる事件の状況がシミュレーションされたテストに挑戦し、事件の真相を追求していきます。

事件現場にはメモや書類などあらゆる痕跡が残されており、それらの証拠を集めていくのですが……本作にはヒントや捜査の手引きといったものもなく、証拠を用いて自らで「仮説」を立てていくことが重要となります。これは「70/30の法則」とも呼ばれ、証拠から判断できる事実7割と、残りの3割は動機の考察や直感的な判断に委ねられています。

物語の奥深さよりも純粋な推理に焦点をあてた作品である本作は、しっかりと日本語にも対応。「日本語訳が機械翻訳チックでよく分からない!」という事態も全くなく、じっくりとひとつひとつの証拠を確認できます。

契約書面の日本語までバッチリ

「予行演習」からかなりの難易度!?さっそく推理に挑戦

本格的な捜査のシミュレーションに入る前に、予行演習となる問題が出題されます。問題は全部で2問で、銀行強盗を行った強盗グループが逮捕された場面となっています。また同グループはヘレン氏の「ひったくり事件」にも関わっている容疑があるとのことです。

ローディングが終わるとプレイヤーはシミュレーション空間に放り出され…眼の前には証拠品が。まず、現場に用意されている証拠は…

  • 強盗グループの犯罪記録、個人情報

  • 被害者(ヘレン氏)の陳述書、盗難被害報告書

  • 犯罪に使用された車からの押収品(携帯電話、缶ビール、タバコ、紙幣)

  • 強盗グループによる犯罪計画書、当日の新聞

これ以外の証拠はなく、他にあるものといえば事件の位置関係を示したホワイトボードくらい。そして、予行演習の設問は「逃走時のドライバーは誰か」「ヘレン氏の財布盗難に関わった人物は誰か」というものになっています。

まずは手当たり次第に証拠を調べてみることにします。強盗グループの犯罪記録を確認すると、犯人はそれぞれ以下のような特徴をもっています。

  • カーター・フランク(35歳、167cm、目の色:茶、髪色:茶)
    過去に文書偽造をしたおそれあり

  • アンソニーヤング(38歳、170cm、目の色:黒、髪色:黒)

  • ハリス・チャド(28歳、167cm、目の色:茶、髪色:茶
    2006年に収監されるも、模範的な態度により2009年2月釈放(事件の設定は2009年10月)

次に被害者ヘレン氏による陳述書を読んでみると、そこにはひったくり事件を行った犯人の容姿について触れられている記述を発見しました。

陳述書によると、犯人は「ヘレン氏より"背が少し高く"(165cm以上)、"黒髪"で"明るい肌"」とのことで…もう一度犯罪記録と照らし合わせてみると、髪色が黒いのはアンソニーのみということが分かります。(カーター、ハリスは茶髪)

ということで、まずは設問2の財布盗難事件に、少なくともアンソニーは関わっているということを解明できました。ですが解答欄には枠を追加できるボタンもあり、なにやら犯行に及んだのは、一人だけではない可能性も…。

また、本作ではゲーム内でメモを呼び出すことができ、証拠の気になったポイントを書き残すことができます。

ひとまずひったくり事件の共犯者は置いておき、続いては、設問1の誰がドライバーだったのかという問題に取り掛かります。犯罪グループはボス、ドライバー、補助役のほかに、「ロレンゾ」という犯罪の計画を取り仕切る人物がいることも判明し、それ以外の3人がそれぞれどの役割であったかを推理する必要があります。

押収された携帯電話にはメンバーそれぞれとのやりとりが残されており、これが証拠として活用できそうですが…そもそも、この携帯電話は誰のもの?という部分から考えなければいけません。メッセージは3つの電話番号から送られており、ひとつは「ロレンゾ」による計画実行の日付の連絡で間違いないでしょう。

次に注目したのは、2つめの番号とのメッセージ。会話で登場する「現金600ドル」とはアンソニーが関与している「ひったくり事件」のものであり、宝くじが当選したヘレン氏の話をどこからから聞きつけ、この人物に持ちかけているようです。つまりこの番号はアンソニーで、携帯の持ち主は設問の答えとなる「共犯者」ということになります。

また、アンソニーとのメッセージの中では「ボス」が存在することと、ボスは携帯の持ち主より年下であることがわかります。アンソニーは最年長、そして会話の主より「年下」が存在する…ということは、この携帯の持ち主はカーターで、「ボス」は最年少のハリス、だと考えられます。

アンソニーとの会話

携帯の持ち主が判明したことで、設問2の財布盗難事件は「アンソニー」と「カーター」によるものだと断定できますが…設問1の"誰がドライバーであるか"、はいまだに有力な証拠が見つかりません。ここで必要となってくるのが「70/30の法則」のうちの3割、「直感的な推察」となるわけです。

消去法的に、携帯の1番上の番号はボスのハリスのものとなるわけで、会話を見てみると…どうもアンソニーのことを信頼しきっていない様子。そして一方のアンソニーとの会話では、カーターはハリスと長い付き合いで、彼に忠実であることが分かります。では、もし自分がボスであるなら、重要となる逃走時のドライバーを、信頼できない人物か、忠実な部下ならどちらに任せるでしょうか…?設問1の答え、ドライバーは「カーター」と考えるのが妥当でしょう。

ハリス(ボス)との会話

こうした証拠の取捨選択、そこから判断できる推論を用いていくことで、本作の推理は進んでいきます。プレイレポートという性質上、順序立てて推理を進めていますが…実際にはこの結論に至るまで何度か不正解を出していたり、そもそも携帯のメッセージを読めることに気付いていなかったりと、2問正解までなかなかの時間(40分程度)を要しています。

何事にだって「裏」がある…さらなる犯罪捜査の世界へようこそ

なかなかにハードな予行演習で本作の骨太な推理を体験した後は、いくつも用意されているシナリオに挑戦することができ、筆者が次にプレイしたのは「失踪」事件のファイル。シナリオ1では母親のキャサリン、トーマス、そして息子のニコラスと娘のヘイゼル、4人のそれぞれの行方についてを解明していくことになります。

選択肢が多いので「総当たり」は無理そう

会話のメッセージなどから、どうやら夫婦関係はあまり上手くいっておらず、金銭面的にもなかなか苦しい状況のよう。そこに追い打ちをかけるように、娘のヘイゼルが意識不明の重体になってしまう事件も発生し、一家はボロボロに…。

トーマスの携帯
ヘイゼル(娘)の日記

部屋には棚や箱、ゴミ箱の中などにもメッセージが隠されていて、それが決定的な証拠となることも、「推察」のための材料となることもあるので、文字通り「視点を変えて」の捜査が重要となってきます。

例えば、母親キャサリンが大事にしまっているメッセージカードの中ではトーマスはなんらかの「依存症」を抱えていたものの、その症状がキャサリンと出会うことで良くなっていったことが語られています。しかし、ゴミ箱の中やトーマスの財布のなかには、最近の日付のカジノのレシートや、銀行での高額な取引記録が…。

さらに、トーマスの持っているレシートの裏には「ハンナ・オルソン」という女性と密かに会う約束をしたメモが残されていたり…?

さらに、証拠を集めていくとそもそも「キャサリンとトーマスは結婚していない」という事実まで発覚し、「家族」それぞれの名字がバラバラであることも判明します。「婚約おめでとう」というメッセージカードや、キャサリンの元旦那からの養育費の支払い記録、そしてキャサリンの趣味の「天文学」の本…の横には「親権争い」の本が隠されていたりと、ストーリーは深く語られないものの、かなりドロドロとした物語が裏で描かれていることが分かります。

元旦那「ジョシュ・ウッズ」、ニコラスとヘイゼルの姓は「ウッズ」

ゼロからのスタートとなる犯罪捜査は閃きが気持ちいい一方…

ヒントや手引きもなく、いきなり事件現場に放り出される本作は、慎重に証拠を集め、それらを取捨選択し、照らし合わせて考えることで着実と答えに近づいていく楽しさがあります。

行き詰まったときはいったん休憩し、ぼんやりと考えていると「あれって…もしかして!?そういうこと!?」と閃くこともあり、それによって捜査が進んだ時の気持ちよさは、カジュアルな謎解きミステリーでは得られないような魅力となっています。

一方で、プレイヤーは推察の末、「多分…こういうことだよな…?」という状態で答えを提出するので、答え合わせの部分があっさりしすぎている部分は物寂しく感じました。結果発表では設問のうちのいくつが正解しているかしか表示されず、「どの答えが正解で、どういった根拠からそうなったのか」という部分の解説は一切ありません。

それでいて次のシナリオに進めるようになるので、捜査をやり切ったという達成感をいまいち得られず、不完全燃焼感が否めないような部分もありました。

正解したものの…。

今回は『Scene Investigators』の魅力である、証拠に記された事実とそこから推察する「70/30」の法則にフォーカスしたレポートをお届けしてきました。多くのテキスト量ながらもしっかりと日本語訳がされているのが良く、じっくりと証拠を読み込む慎重なプレイが可能です。隠された証拠を見つけたり、突如として閃いたアイデアを当てはめることで捜査が進む気持ちよさは、骨太で本格的な本作だからこそ得られるものでもあります。

また、筆者はソロでプレイをしましたが、配信などで複数人とアイデアを出し合ってみたり、プレイした人同士で考察を語り合ったりといったプレイをしてみるのも面白そうです。特に「推察」は考え方も十人十色、新たな角度からの発見が隠されているかもしれません。

しかし一方で、"あっさりしすぎている"答え合わせのパートのために、最後までやり切ったという達成感を得られにくい点は気になる部分でもあります。ストーリーを重視していないつくりとはいえ、どれが正解で、どのようにして答えに至ったかという部分のフォローがもう少しあっても良かったのかな、と感じます。

スパくんのひとこと



超骨太の本格的な犯罪捜査は、秋の夜長にピッタリだスパ!


タイトル:Scene Investigators
対応機種:PC(Steam
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年10月24日
著者プレイ時間:3時間
サブスク配信有無:
価格:2,800円(11月1日まで2,520円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの

《kurokami》

チャーシュー麺しか勝たん kurokami

1999年生まれ。小さい頃からゲームに触れ、初めてガチ泣きした作品はN64の『ピカチュウげんきでちゅう』です。紅蓮の頃から『FF14』にどハマりしており、Game*Spark上ではのFF14関連の記事を主に執筆しています。

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