80年代から現代までのF1を再現!50代以上のファン歓喜必至のレーシングシム『New Star GP』で「F1の歴史」を振り返る | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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80年代から現代までのF1を再現!50代以上のファン歓喜必至のレーシングシム『New Star GP』で「F1の歴史」を振り返る

8月からSteamにてレーシングゲーム『New Star GP』の早期アクセス配信が始まりました。

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80年代から現代までのF1を再現!50代以上のファン歓喜必至のレーシングシム『New Star GP』で「F1の歴史」を振り返る
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8月からSteamにてレーシングゲーム『New Star GP』の早期アクセス配信が始まりました。

このゲームは、1980年代から現代までのF1を再現しています。権利の問題があるらしく「F1」とはどこにも銘打っていないものの、長年のF1ファンの琴線に触れる様々な描写が施されています。それこそ、50代以上のファンに「おおっ、こんなところまで!」と言わせてしまうような場面も。

今回はこの『New Star GP』をプレイしつつ、「F1の歴史」を振り返ってみましょう。

80年代のF1と日本

80年代初旬のF1では、不死鳥と新星が入り混じる熾烈な戦いが繰り広げられていました。

大火傷からカムバックした経歴を持つ「不死鳥」ニキ・ラウダが81年から現役復帰する傍ら、ネルソン・ピケ、ナイジェル・マンセル、アラン・プロストといったヤングライオンが存在感を発揮します。そして84年には、「伝説の貴公子」アイルトン・セナがF1デビューしました。それと同じ頃、日本からホンダがF1に参入。今も語り継がれる名車を世に送り出します。

この時代の日本は、まさに上昇気流に乗っていました。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は1985年公開ですが、カリフォルニア州に住む主人公の高校生マーティ・マクフライの身の回りにはあらゆる「メイド・イン・ジャパン」があります。腕時計、ビデオカメラ、テレビ、ストップウォッチ、楽器、そしてマーティが憧れるピックアップトラックまで日系メーカーの製品です。タイムマシンに改造したデロリアンに組み込まれている半導体すらも日本製でした。

好調な経済を背景に、日本でもF1グランプリが10年ぶりに再開され、フジテレビがF1中継を開始しました。T-SQUAREの『TRUTH』が爽快に流れるオープニングを、今も覚えている読者は少なくないはずです。

マルボロカラーのマシン

1988年のマクラーレン・ホンダは、圧倒的な強さを発揮しました。

このシーズンのために開発されたマシンMP4/4を、アイルトン・セナとアラン・プロストが見事なドライビングテクニックで操ります。88年のマクラーレン・ホンダの戦歴は、何と16戦15勝。しかもそのうちの10勝は、セナとプロストのワンツーフィニッシュです。

「最速」の名を欲しいままにしたMP4/4の実車を、筆者は他のメディアの取材で見たことがあります。赤と白のマルボロカラーで、タバコの広告規制が厳格化した今では絶対に見られない塗装です。60年代にロータスのコーリン・チャップマンがタバコメーカーのスポンサードを受け入れてから約40年の間、F1マシンにはタバコの広告が施されていました(なお、エンツォ・フェラーリは「私のマシンは禁煙家だ」と言ってタバコの広告に反対していました)。

さて、ここで『New Star GP』をプレイしてみましょう。80年代から始めると、やはりその時代を思わせる形状のマシンが登場します。今では当たり前の装備になった「ヘイロー」(コクピットの真上に設置される、天使の輪のような保護装置)など、まだ影も形もありません。

ドライバーのエディット機能では性別も選択できます。スーツやヘルメット、そしてマシンの塗装も自由自在。組み合わせによっては、マクラーレン・ホンダのマルボロカラーに近い塗装も可能です!

ピットの中の駆け引き

『New Star GP』で筆者が最も高く評価したいのは、レース中のカメラの視点です。

真上からの視点、それぞれ角度の異なる斜め後ろからの視点、そしてコクピットからの視点という具合に複数用意され、レース中にいつでも切り替えることができます。

天候やコースに合わせて様々な種類のタイヤを選択し、同時に燃料の残量も気にかける必要があります。たとえばソフトタイヤを選択した場合、トップスピードは出ますが寿命が短いせいですぐにピットへ入らなければなりません。ということは、最初から燃料を満タンにする必要はないわけです。このあたりのさじ加減が物を言うあたり、本物のF1をしっかり再現しています。

また、このゲームは「レーシングチームシミュレーター」という側面もあり、何と「他のドライバーやピットクルーとの友好関係」という概念も。やっぱりトップドライバーってのは、人付き合いの上手い奴が多いんだな!

80年代以前のF1も再現できれば…

なお、このゲームはレース中に天候が変化することもあります。

コースを6周するレースの4周目に雨が降った場合、ハードタイヤからレインタイヤに交換するかしないか? という即時の判断も要求されます。ハードタイヤの耐久度に余裕があって、尚且つ燃料も申し分なければわざわざピットへ入らずにハードタイヤのままレースを終わらせてしまう、という判断もアリです。或いはここは博打に出て、タイムロス覚悟でレインタイヤに履き替えてしまうというのも……。

このゲーム、とんでもなく奥が深い!

ただひとつ、筆者が残念と感じたのは「80年代までしか遡れない」という点。それ以前、つまり大火傷を負う前のラウダが大活躍していた70年代、ジャッキー・スチュワート卿がF1の安全対策を次々に提唱していた60年代後半、そして「アルゼンチンの巨星」ファン・マヌエル・ファンジオが王座に君臨していた50年代も再現できなかったのか……? と思ってしまいます。

50年代から60年代のF1は、今では考えられないほど過激でクレイジーでした。マシンは既に時速250kmは出るのに、安全装備は全くと言っていいほどありません。シートベルトすら搭載されていないマシンに乗って、万が一高速カーブを曲がり切れなかったらそのまま客席に突っ込んでしまいます。この時代のサーキットと客席を隔てるのは、土手と藁の束のみ。

1961年のイタリアGPでは、ヴォルフガング・フォン・トリップスのマシンが客席に突っ込み、14名の観客が死亡するという事故が発生しています。

また、この時代のF1マシンは一度火災が発生したらドライバーはまず助かりません。今でこそドライバーは難燃繊維の耐火服を着ていますが、上述のマヌエル・ファンジオはポロシャツの上にワークジャケット、下はスラックスというスタイルを好みました。乗馬かゴルフと勘違いしているかのような服装ですが、50年代はそれが当たり前でした。

その頃のF1をどうにか再現できたら、ゲームとしてなお良かったのに……と思案しているのは筆者だけでしょうか?

《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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