RTA走者による「AGDQ2024」アメリカ現地参加レポート。世界最大級のスピードランイベントは全てが壮大だった【特集】 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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RTA走者による「AGDQ2024」アメリカ現地参加レポート。世界最大級のスピードランイベントは全てが壮大だった【特集】

世界最大級のスピードランイベント「AGDQ2024」にアメリカ現地参加してきました。事前準備から現地の様子にいたるまでの一部始終を、参加レポートとしてお届けします。

連載・特集 イベントレポート
RTA走者による「AGDQ2024」アメリカ現地参加レポート。世界最大級のスピードランイベントは全てが壮大だった【特集】
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渡米編(本番2日前~)

出国の日は、初日の出番から時差ボケを考慮して逆算し、イベント2日前に設定しました。羽田空港では、マイナス10度を下回るピッツバーグの厳しい寒さに備えて防寒着を買い込みました。長いフライトに備えて、過去のGDQ動画などを鑑賞用にオフライン保存していましたが、10年前に流行したパズルゲーム「2048」が機内のモニターで遊べることを発見すると、時間を忘れて「4096」完成RTAに没頭してしまいました。RTA走者の悲しい性です。アトランタでの入国審査と乗り継ぎを済ませ、目的地のピッツバーグに到着したのが同日の夜。日本との時差は14時間あります。初日は空港近くで宿泊予約を取っていたため、無料のシャトルを利用してホテルへ。結局この日は機内で4時間、ホテルで6時間寝ました。

イベント前日はバスで会場のホテルに移動。チェックインと受付を済ませて夕方ごろ会場入りしました。会場に入ってまず驚いたのが、カジュアルゲーム部屋のモニターの数の多さです。数えきれないほどのゲーミングモニターに加え、この令和の時代に30台近くのブラウン管TVも用意されています。この日の夜になると参加者が続々とこの部屋に集まり、多くの交流が生まれる拠点となっていました。

部屋の奥には、日替わりでいろいろなゲームの1面のタイムアタックに挑戦できるブースや、『ストリートファイター6』をはじめとする様々なトーナメントが開催されるスペースも。また、走者用の練習場所はこことは別に2部屋用意されており、出番前のコンディション調整や解説者との打合せに活用できます。筆者もこれらの部屋で前日調整を済ませ、興奮する気持ちを無理やり鎮めて眠りにつきました。

「AGDQ2024」本番編(開催当日~)

1月14日午前11時、いよいよAGDQ2024の開幕です。最初のプログラムであるプレショー開始までの時間がスクリーンに映し出されると、観客席からは自然とカウントダウンコールが沸き起こり、会場のボルテージはいきなり最高潮に。筆者の出番は開幕から3番目だったので、最初の作品が始まるとすぐに舞台横の控室へと呼び出されました。オープニング前後に公開された『スーパードンキーコング』のインセンティブも、8000ドルの目標寄付額をあっという間に達成。「101% Reverse Boss Order」へのカテゴリアップグレードがこのタイミングで決定しました。

AGDQ2024のステージは左右2つのブースに分かれており、同じ走者環境が2組用意されています。片方でスピードランが進行している間に、次の走者が他方でセットアップ等を進められるシステムです。日本では「RTA in Japan」が既に導入している仕組みですが、GDQでは「TwitchCon 2023」内で行われた出張イベント「Games Done Quick Express 2023」で採用されて好評だったため、そのまま今回も継続となったようです。本イベントが終始オンタイムで進行できた大きな一因となりました。

ステージに上がると、ヘッドセットの音量調整やゲームの動作チェックを行います。普段は日本のスーパーファミコン実機で走っている筆者ですが、今回は運営が用意した北米のSNESSuper Nintendo Entertainment System)で走りました。初めて触る機器のため、リセットボタンの扱い方などをこの場で確認。全てのセットアップを終え、満を持して出走の時間を迎えました。

本番が始まると、ハイリスクなワープや猶予1フレームの大技の連続が無事に成功。会場全体の大きな歓声が後押しになり、どんな難所も上手くいくような自信が湧いてくる不思議な気分に。終始落ち着いたメンタルで心地よく走り切れました。出番後はホテルのロビーやエレベーターですれ違う人たちが次々に温かい労いの言葉をかけてくれて、思わず泣いてしまいました。

(画像は Donkey Kong Country by Tonkotsu in 53:27 - Awesome Games Done Quick 2024 より)

その日の夜は走者仲間達と雪の降る街へ繰り出し、ビアバーで乾杯しました。インターネット上では長く交流がありましたが、直接会うのは今回が初めてです。中には筆者がRTAを始めた当初から憧れてきた伝説級のプレイヤーも。本場のハンバーガーを味わいながら、積もる話に花が咲きました。

もうひとつの作品『マリオ&ルイージRPG』の出番までは中二日あったので、練習部屋での調整を欠かさず行いつつ、今度は観客としてもイベントを楽しむ番。個人的に最も楽しみにしていたのが、柴犬のピーナッツバターくんによる『Gyromite』のスピードランでした。ゲーム内の仕掛けが上手く解かれる度に送られる温かい拍手に加わると、オフラインイベントならではの一体感を味わえます。


スピードランの鑑賞は会場だけでなく、自室でも可能。開催期間中、ホテル内のテレビではAGDQ2024の配信を24時間いつでも観ることができます。皆で部屋に集まって凄腕プレイヤーのテクニックを鑑賞したり、寝起きにベッドの上から現在行われているゲームをチェックしたり。ホテル内にさえいれば、時と場所を選ばずイベントへの参加体験をもたらしてくれるのがGDQの凄いところです。

ここまで紹介してきた場所の他に、ボードゲームやアーケードゲームを楽しむための部屋も。アーケード部屋にはリズムゲームやピンボール等の筐体がズラリと並びます。筆者は部屋の隅にアーケード版『ドンキーコング』の筐体を見つけ、練習後の息抜きに遊びました。

イベント4日目。この日は夕方に『マリオ&ルイージRPG』の出番を迎えました。プレイ内容は終盤までかなり好調だったものの、最難関のラスボス戦でミスが出て、HP1まで追い込まれる厳しい展開に。最後は保険用の回復アイテムを残らず使い果たして、薄氷の勝利を掴みました。エンディングのスピーチ中には、イベントの終わりが見えてきた寂しさから再び泣きそうになってしまいました。

(画像は Mario & Luigi: Superstar Saga by Tonkotsu in 1:20:42 - Awesome Games Done Quick 2024 より)

翌日は丸一日観光デー。フィップス温室植物園やレトロゲームショップ巡りを楽しみ、有名なステーキハウスで漫画のように大きなステーキを食べました。最終日にはもう一人の日本人走者による『マリオカート64』も予定されており、フィナーレまで滞在したい気持ちでいっぱいでしたが、お世話になった走者達と別れの握手やハグを済ませて泣く泣くピッツバーグから離脱。乗り継ぎに失敗してデトロイトで急遽一泊するトラブルに見舞われながらも、なんとか日本へ帰国しました。

渡航費用や言語の壁を含めて、現地参加のハードルは決して低くありませんが、その苦労を補って余りあるプライスレスな経験をGDQは与えてくれました。AGDQ2024で披露されたスピードランの数々は、GDQのYouTube再生リストから視聴できます。今回お伝えした会場の熱い雰囲気の一部を、画面越しにお楽しみいただければ幸いです。


《とんこつ》

RTAプレイヤーです とんこつ

福岡県出身。東京大学卒業後、2018年にRTA(リアルタイムアタック)に出会い、現在に至るまでTwitch & Youtube Partnerとして活動中。主なプレイタイトルはスーパードンキーコングシリーズとマリオ&ルイージRPGシリーズ。RTA in JapanやGames Done Quickへの出場多数。

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