「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】

大学の本質とは……?

連載・特集 特集
「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】
  • 「日本の大学で起きた不祥事」について考えながら大学経営シム『Two Point Campus』をやってみよう!【特集】

日本のとある大学がモメています。

その大学は、スポーツの部活動で有名です。まさにスポーツあってこその大学ですが、その部は度々不祥事を起こしてしまい、いよいよ理事長と学長の責任問題に発展してしまいました。理事長は有名な作家さんですが、何だか大学の運営って大変そうです……。

そんな理事長の心情を少しでも察するため、筆者は『Two Point Campus』というシミュレーションゲームをプレイしてみました。


ロボット工学から詐欺師学まで

大学とは「ひとつの町」でもあります。それぞれ出自の異なる青年たちが集まり、やはりそれぞれ異なる学部で知識を蓄え、やがて卒業していきます。そんな学術機関を運営するのは、一筋縄ではいきません。

『Two Point Campus』は大学経営を細部まで再現しているゲーム……とのことですが、どうもやってみると違和感というか「?」と思う部分があります。いや、確かに非常によくできた作品です。それぞれの学部に必要な教室や研究施設、そして講師や清掃員、施設管理スタッフまで雇用できるあたりはまさに現実の大学そのもの。しかも生徒ひとりひとりにステータスがあり、優等生から落第生まで学力に差があります。

ただ、このゲームに出てくる大学……ちょっと変!

シンチグラフィやロボット工学といった学部は現実にありますが、ポーション学やら騎士学やらスパイ学やら詐欺師学といった謎の学部まで用意しているのがこのゲームの最大の特徴。さ、詐欺師学なんてどういう奴が専攻するんだ!?

ゲームは1年区切りの進行で、時が進む毎に学生たちは知識を身につけて単位を取得し、卒業していきます。彼らが大学を巣立っていく場面は、やはり理事長冥利に尽きます。いやー、この大学はちゃんと意義があるんだな!

部活動は「課外活動」

学生たちの満足度を上げるため、大学ではイベント部活動といったことも企画できます。

ということは、現在モメてる例の大学のように、ひたすらスポーツ部を強くして全国的に有名にしていくこともできるのか!? ……と思ったのですが、そこら辺は『Two Point Campus』も現実志向。大学の本分は部活動ではなく、学部です。サークルや部活といったものは、あくまでも学生の満足度を上げるための一手段。

ここで筆者は、つけっぱなしにしていたテレビを観ていたこともあり、いろいろと考えてしまいました。

そうです、大学は本来であれば学部がメイン。部活動で単位は取れません。何しろ、部活動とは言い換えれば「課外活動」です。学部で勉強して単位を取って学士になることを目指しているからこそ、親は安くない授業料を払っているはず。

『Two Point Campus』に出てくる大学の学部はヘンテコなものばかりですが、それでも学部は学部。若者たちは、専攻学部で勉強することを主目的にこの大学へ通っています。そんな彼らにできるだけ快適なキャンパスライフを送ってもらうため、理事長は娯楽室や宿泊室を設けたり、必要とあらば敷地内にコーヒーショップやホットドッグ屋を建てることだってします。

そうしたことは、現実のどの大学でも同じはず。

その中で、スポーツ部の不祥事のために大学全体のイメージが失墜するような出来事が起こったら学部で真面目に勉強している学生たちは何を思うのか……と筆者は悟ってしまいました。

大学は何のためにある?

実際に『Two Point Campus』をプレイしてみると、ケレン味やユーモアに満ちていながらも真摯に「大学経営」を再現していることが見て取れます。

大学は何のためにあるのか? という原理的な疑問もこのゲームは提示してくれます。

外から見れば「変なところだなぁ。こいつら、普段何やってるんだ?」と言われてしまうような大学は、実は学部での講義や研究といった「本分」を第一優先にするれっきとした学術機関です。かたや「あの大学はスポーツ部に力を入れている立派な学校だ」と言われている某大学は、虎の子のスポーツ部の不祥事がきっかけで醜い権力闘争が露呈しました。

もちろん、後者の大学にも学部での勉学に本気で打ち込んでいる学生がたくさんいます。というより、そのような真面目な学生が多数派です。故に、此度の騒動で最も大きな被害を受けているのはこうした「普通の学生」ではないでしょうか。

日本語化はされていないけれど……

そんなことを考察させてくれる『Two Point Campus』は、現時点では日本語化されていません。ただ、割と平明な英語によるチュートリアルが完備されているため、プレイを開始するためのハードルは決して高くないと思われます。

大学を卒業して久しい中年の紳士淑女にこそ、このゲームを一度やってみていただきたいと筆者はおぼろげに考えています。

『Two Point Campus』はSteamで配信中。販売価格は3,888円です。


《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top