アメリカのカリフォルニア州に本社を置くプロセッサーメーカーのSyntiant社は、自社の開発した極低消費電力のチップで『DOOM』をプレイした様子を公開しました。
今年2月にカリフォルニア州サンフランシスコで開催された半導体関連の学会「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)」において、Syntiant社は極低消費電力のチップ「NDP200」の詳細を発表しました。このチップは1mWという非常に少ない電力で駆動し、ニューラルネットワークによって監視している映像で何か変化を察知した場合には、他のシステムが起動するような仕組みとなっています。
Syntiantは『DOOM』の軽量版でもある『VizDoom』を機械学習のモデルとして、実際にチップのAIでプレイさせた様子や、その学習の過程などを発表。プレイしたゲームレベルは「Defend the Circle」と呼ばれ、円形の部屋を移動しながら敵を撃つという比較的シンプルなものです。
まずは映像を識別する層で敵を認識し、別の層ではその認識した敵に対して銃撃という行動を起こす学習をさせる必要があった、と最近まで同社に所属していたデイビッド・ギャレット氏は述べており、「このスケールのチップで要素を検出し、それに対してアクションを起こせることがポイントである」ということも強調しています。
さらに彼は最初の敵を倒したあと、AIはすぐにマガジンをリロードしてしまっていた点を指摘しました。しかしAI側もすぐに学習し、残弾を節約、管理するという行動を起こすようになったとしています。
NDP200は映像による物体の認識だけでなく、音声の検出などでも変化を察知でき、前述のように極めて少ない電力で稼働が可能です。もしかしたら、暇な時は『DOOM』をプレイするAI搭載ガジェットが出てくる未来もあるのかもしれません…。