PS4版『マフィアIII』プレイレポ―重く、切なく、炎のように熱い復讐劇 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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PS4版『マフィアIII』プレイレポ―重く、切なく、炎のように熱い復讐劇

Hangar 13が開発を手掛け、10月27日より国内でも発売を迎えたシリーズ最新作『マフィアIII』。本稿では、その凄まじいストーリーテリングと映画のような演出を魅せる本作PS4版のプレイレポをお届けします。

家庭用ゲーム PS4
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Hangar 13が開発を手掛け、10月27日より国内でも発売を迎えたシリーズ最新作『マフィアIII』。本稿では、その凄まじいストーリーテリングと映画のような演出を魅せる本作PS4版のプレイレポをお届けします。なお、多少のネタバレ表現を含むため、閲覧にはご注意ください。


主人公のリンカーン・クレイ。裏切りにあったが一命をとりとめる

『マフィアIII』は、2007年に発売された『マフィアII』以来となるシリーズ最新作。ベトナム戦争帰りの黒人リンカーン・クレイが主人公で、舞台はニューオーリンズをベースとした南部の架空の街ニューボルドーです。作中の時代1968年は、人種差別の観念がアメリカで根強い時期で、キング牧師の暗殺が起きたことでも知られています。そもそもアメリカ南部は、歴史的にみても差別が活発な地域で、そんな中に黒人主人公を設定することは筆者にとって驚きでした。もっとも、驚くべき部分はそこだけではなかったのですが。


本作では、時代の移り変わりによって変遷していくギャングという存在、そしてアメリカで実際にあった差別とはどういうものなのかが体験でき、日本人にとって教科書など、ごく限られたものでしか知りえなかったアメリカ社会の闇を描写。アメリカ合衆国に拠点を置く開発スタジオの、決して他人事ではない深いメッセージも見える、意欲作と言えます。さらに、フランソワ・デュヴァリエやキング牧師といった実際の人物がストーリーや世界背景に影響を与えているので、世界史に詳しい方はより楽しめるでしょう。




前作にもあったPLAYBOYが再登場。しかし、例のあそこには修正が…

ちなみに今作は×ボタン決定で、音声は英語のみ、テキストは英語/日本語、字幕のオン/オフが設定可能。マップに落ちているメモは日本語訳されていましたが、収集要素の雑誌「PLAYBOY」に載っている英文は翻訳されていませんでした。また、あまり多くはないものの、前作ファンならニヤリとする部分もあるので、探してみるのもいいかもしれません。

■裏切られ、仲間を殺された男は復讐を誓う


ベトナム戦争帰りの主人公リンカーン・クレイはかつて孤児でしたが、子どものころ黒人系ギャングファミリーのサミーに引き取られ、ファミリーの一員として生きていました。リンカーンが戦争から帰ると、サミー率いるファミリーが、支配地域内のゴタゴタによって、大ボスであるサル・マルカーノに上納金を払えていないことが発覚。リンカーンは、連邦銀行を襲って大金を奪いますが、サル・マルカーノはある企みのため、リンカーンたちを裏切って黒人系ギャングたちを皆殺しにし、金を全て奪っていきました。なんとか一命をとりとめたリンカーンは、自身を助けてくれたジェームズ神父の制止を振り切り、サル・マルカーノファミリーに復讐を誓います。


復讐を少しずつ、しかし確実に続けていく

リンカーンは、手始めに、ベトナム戦争時に協力していたCIA職員ジョン・ドノヴァンとともに行動を開始し、誰と手を組むべきか、どのようにサルを追い詰めていくかを画策。アイリッシュギャングのトーマス・バーク、ハイチ系ギャングのカサンドラ、そして前作の主人公で、ニューボルドーに"流れつかされた"ヴィト・スカレッタの3人とともに、サル・マルカーノファミリーのメンバーや幹部を容赦なく殺していきます。



マップに至るところで拾える部品があれば盗聴が行える

さて、ここで少しだけ物騒なことを言いますが、筆者は"復讐モノ"が大好きで、(結末はどうあれ)映画「オールド・ボーイ」や近年では「レヴェナント: 蘇えりし者」「ジョン・ウィック」などがお気に入りです。今回紹介している『マフィアIII』はそんな復讐が描かれる作品であるので、私としてはプレイする前から胸躍る作品でした。リンカーンの目標はサル・マルカーノではありますが、サルを殺すだけが目的ではありません。文字通り"全てを奪って"から倒す必要があります。そのため、サルの下にいる中枢メンバー、そして更にその下にいる幹部の事業を周辺からじわじわと奪い、破壊し、自分のものにすることで復讐を果たしていくのです。

■オープンワールド作品としては充分な歯ごたえ


基本はステルスで侵入することをお勧めしたい

ビデオゲームとして『マフィアIII』はどうなのか、というと、"非常にハードコア"であると言えます。本格的に復讐が開始するのは、前述した協力者3人を仲間に引き入れたあと。サル・マルカーノファミリーが持つ地域を奪うと、その協力者のいずれかに奪った地域を割り振りますが、この割り振りが実に悩ましい。


警察の動きを封じたり、爆薬をくれたりするバーク、電話線を一時的にカットして増援を呼べなくしたり、銃の精度を上げてくれたりするカサンドラ、武装した仲間を送ってくれたり、リンカーンの体力バーを増やしてくれるヴィト。それぞれが、支配地域の総収入に応じて特徴の異なる見返りを提供してくれるので、割り振りで数分悩む、という場面もしばしばありました。ちなみに筆者は前作プレイ済みということもありヴィトを贔屓したかったのですが、"忠誠度"というものも存在しており、協力者が離反してしまう危険性があるため、満遍なく均等に地域を割り振りました。なお、離反した協力者は自らの手で倒さねばならなくなります。


この会合が曲者。割り振りは慎重に決めよう


地域割り振りの際はそれぞれがアピールしてくる。1人をないがしろにすると、セリフも攻撃的になる

復讐のターゲットは、各地域の事業を妨害/破壊していき損失額を一定にすることで、ターゲットの名前付きの部下が2人登場。この2人を倒すことで、そのターゲットの居場所を特定できるという仕組みです。敵の事業に損失を与える方法は、用心棒を倒す、設備を破壊するなど複数あるのですが、基本的な行動が似通っているため、正直なところ"作業的"と言えなくはありません。


警官はサル・マルカーノに支配されているが、時には仕事もしっかりこなしているのかも?


各地域で損害額を増やそう。復讐も地道に…

また、戦闘の難易度は比較的高めで、リンカーンが思ったよりもダメージ耐性が無い(柔らかい)ため、体力バーが満タンでタクティカルベスト(防弾チョッキ)を着ていたとしても、複数人の攻撃を受けると一瞬で体力が削られます。敵はプレイヤーを囲むように回り込んで来たり、ショットガンを持っている場合は前に出てきたりと、いやらしい動きをしてくるので、カバーする場所、倒す敵の順番を適宜決めながら戦う必要があるでしょう。筆者は様々なオープンワールドやTPSタイトルをプレイしてきましたが、仮に初心者であったら、難易度ノーマルであってもおそらくは苦戦するはずです。しかしながら、ステルスの難易度は低く抑えられていて、敵の知覚範囲は短く、口笛(十字キー左長押し)で1人ずつ敵を誘い出せるので簡単でした。余談ですが、サイレンサー付きの武器は支配地域の割り振りで得られ、序盤では使用できないので、しばらくはそのままでプレイする必要があります。



武器の携行数は少ないため吟味する必要がありそう。ピンチのときには協力者への要請も重要


一部の敵は、殺害するか、配下にするかが選べる。長期的に見るなら配下にするのがお勧め

車の運転はほかのオープンワールドタイトルに比べて明確に難しく、車体の重厚感を感じられる作り。今作では警察が非常にしつこく、鈍重な車では逃げ切るのはなかなかに大変。なので、慣れるまではしばらく車を乗り回す、というのも1つの手かもしれません。さらに、尾行も難敵で、無意味な停止、クラクションを鳴らされる、通行人を危険に晒すといった行動をすると警戒されてしまうため、こちらも慣れる必要がありそう。ちなみに今作ではハンドガンなど一部の銃ではドライブバイ(フリーエイム)が可能。敵/警察車両に限っては、タイヤ、搭乗員にロックオン(L1ボタンでターゲット切り替え)でき、△の表示が緑色になったところで射撃(R1ボタン)すれば確実に撃ちぬけます。これはオープンワールドタイトルとしては画期的で、非常に便利でした。


緑の△が撃ちぬけるマーク。ターゲットは切り替えられるので、車両を完全にパンクさせられる


■卓越したストーリー。あなたもいつしかリンカーンになる


ここまでつらつらと今作について書いてきましたが、『マフィアIII』のゲームとしての出来を考えると、不満に感じる部分は1つや2つではありません。しかし、今作のキモは卓越したストーリーテリングとエモーショナルな表現方法にあります。本作は、単なる勧善懲悪モノではないですし、リンカーンはヒーローでも、ましてやダークヒーローでもありません。心が重くなるような、あるいは喉がカラカラになるようなセリフ、描写、演出が多く、物語の序盤こそ復讐を果たせばスカッとしますが、次第になんとも形容しがたい気持ちが心の中に渦巻いていきます。


お馴染みの俳優ノーラン・ノースも



地域ごとに特色が異なる。裕福な人々が集まるフリスコ・フィールズでは、警官との遭遇率が高い

サルはこの街の警察さえ支配している存在で、いわば街そのもの。では、そのサルが死んだら、復讐を果たしたら、その後リンカーンはなにをするのでしょうか。少なくとも筆者は途中まで、サルを倒した後のことなど考えたことすらありませんでした。本作を遊んでいると、筆者の思考はいつしか、リンカーンとまったく同じになっていたのです。そうさせたのが、序盤の復讐に至るまでのストーリー展開と演出。そして、必ず復讐するぞ、と私を奮い立たせたのは、サル・マルカーノたちに裏切られるあのシーンがあってこそでした。私はあのシーンをビデオゲーム史上トップクラスのオープニングシーケンスだと強く主張したいですし、終盤からクライマックスにかけての展開も素晴らしいと感じています。


『マフィアIII』は、映画的もしくはドラマ的で、とどのつまり、ゲームというものをどう捉えているかで評価が変わる作品でしょう。筆者がゲームを好きになったきっかけは、映画のようなゲーム作品と出会ったことなのですが、今作はそんな私の琴線に触れまくるタイトルだったのです。個人的には強くオススメしたい作品ですし、プレイしてよかったと心の底から思いました。


『マフィアIII』は、PS4/Xbox One/PCを対象に、国内で10月27日より発売中です。
《秋夏》
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