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記野直子の『最新北米市場分析』2015年9月号―年末商戦がいよいよ開幕!

こんにちは。東京ゲームショウ(TGS)2015も終了して世界的にも今年度のタイトルのお披露目はすべて終わりました。9月度の北米市場データ速報がNPDから発表されましたので報告します。

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記野直子の『最新北米市場分析』2015年9月号―年末商戦がいよいよ開幕!
  • 記野直子の『最新北米市場分析』2015年9月号―年末商戦がいよいよ開幕!

こんにちは。東京ゲームショウ(TGS)2015も終了して世界的にも今年度のタイトルのお披露目はすべて終わりました。9月から年末商戦が始まった北米ですが、年末に向けて大型タイトルが次々と発売されます。ハードウェアが順調に出回っているのでソフトウェアがどれだけ大きく売上を伸ばせるかとても楽しみですね。

それでは、9月度の北米市場データ速報がNPDから発表されましたので報告します。

■市場全体動向

9月の市場全体は前年9月の11億ドル(約1,320億円)から9 %ダウンの10億1,000万ドル(約1,212億円)。前年比がダウンとはいえ、8月からは2倍弱の市場の伸びです。さすがに年末商戦が始まった感がありますね。また、ハードウェア売上は前年比27%ダウン。ソフトウェアの3%ダウンに比べると目立ちますね。

なんと前年比20%アップをマークしたアクセサリー(周辺機器)は、前月同様インタラクティブ・フィギュアの売上好調を示しています。『Disney Infinity』、『Skylanders Superchargers』『Lego Dimensions』などの人気タイトルが新しいシリーズを追加したのが功を奏した模様です。

■ハード動向: 北米はハイスペック2強時代

PlayStation 4は5カ月連続で首位をキープしています。『Destiny: The Taken King』のバンドル版も好調のようです。ソニーは東京ゲームショウで一足先に日本での値下げを発表しましたが、北米も10月9日より50ドル値下げの349ドルに価格改定をしました。9月のデータにはこの値下げが反映されていないので、年末商戦真っ只中の10月以降のデータにどのように反映されるか楽しみですね。

前述した通り9月のハード売上金額は前年比27%ダウンと報じられていますが、NPDの発表によると、PlayStation 4/Xbox Oneは前世代PS3/Xbox 360のライフサイクル上の同じ期間と比べて40%を上回る勢いで出回っています。PlayStation 4の値下げや10月以降のタイトルラッシュを考えれば懸念はないようです。

PlayStation 4とXbox Oneとのインストールベースの差は実はそれほど大きくはないのですが、NPDやソニー、マイクロソフトが実販売の数字を発表しない限り、「ソニーのPlayStation 4が首位!」と発表されれば「ソニーひとり勝ち」感が演出されますね。ただ、日本で思っているよりは差はないと考えてください。北米ではPlayStation 4、Xbox Oneの2強時代なのです。

なかなかニュースにあがってこない任天堂ハードですが、Wii Uは前月(8月)比110%売上アップ、2015年1月~9月の売上が前年同時期から25%アップとのビミョーな情報がありました。

■ソフト動向: スポーツタイトルが売れまくる季節!


2015年9月度のソフトウェアランキングをレポートします。

    1. NBA 2K16 (PS3/PS4/X360/X1) - Take 2/2K Games
    2. Madden NFL 16 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
    3. Metal Gear Solid V: The Phantom Pain (PS3/PS4/X360/X1) - Konami
    4. FIFA 16 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts
    5. Destiny: The Taken King (PS3/PS4/X360/X1) - Activision Blizzard
    6. Super Mario Maker (Wii U) - Nintendo
    7. Disney Infinity 3.0 (PS3/PS4/X360/X1/Wii U) - Disney Interactive
    8. Mad Max (PS4/X1) -Warner Bros. Interactive
    9. NHL 16 (PS3/PS4/X360/X1) - Electronic Arts

10. Minecraft (PS3/PS4/X360/X1) - Microsoft/ Sony Computer Entertainment
スポーツタイトルがいっぱいですね。スポーツものがここまで売れるのは北米市場の特異性ですが、NPDによると9月のソフト売上本数の32%、売上金額の39%がスポーツジャンルで構成されているそうです。

首位の『NBA 2K16』は「発売初週に400万本を出荷した!」と販売元の2Kより発表がありました。また、デジタルダウンロードにおける販売も前年の2倍以上の結果を出しているとのこと、振り返れば北米で今年一番売れたソフト(9月末現在です!)になっていました。

前月首位だった『Madden NFL 16』は9月も2位を維持しています。そういえば、一昔前は北米では売れないと言われていたサッカーゲームも近年受け入れられるようになり、『FIFA 16』は堂々の4位です。

3位にランクインした『Metal Gear Solid V: The Phantom Pain』は前作までのような派手なプロモーションがなかったにも関わらず、評価も高く、市場はきちんと反応しています。E3などでももう少しプッシュしてほしかったタイトルなのですが、今はなき小島プロダクションの有終の美を飾るにふさわしいすばらしい出来と言われています。

マルチプラットフォーム向けがほとんどランキング上位である昨今、単独プラットフォーム向けで6位にランクインしている『Super Mario Maker』はあっぱれです。任天堂の発表によると9月11日の発売以来パッケージのみで44万5千本、デジタルダウンロードを含めると50万本以上9月単体で売り上げたとのことです。

9月15日に発売されたXbox Oneエクスクルーシブタイトル『Forza Motorsport 6』は残念ながらランクインしませんでした。ランキングする際にハードとのバンドル(同梱)版に含まれるソフトはカウントされていないので5位の『Destiny: The Taken King』のPlayStation 4とのバンドル版と同様、実際はもっと多くプレイされていると推測します。

いずれにしてもエクスクルーシブタイトルはハードの競争をするハードメーカーにとって必要不可欠ではありますが、タイトル単体の売上と開発費のバランスを考えると、サードパーティには決断しにくい、もはやハードメーカーでないとできない施策ではありますね。

■年末商戦2015の行方:ハードメーカーのソフトバンドル施策がすごい!


前述しましたが、ソニーがPlayStation 4本体の値下げを発表しました。マイクロソフトがこれから『Halo 5: Guardians』、『Rise of the Tomb Raider』などのエクスクルーシブタイトルを引っ提げて年末商戦に挑むのに対抗して有効な施策でしょう。

ソニーは既に『Call of Duty: Black Ops 3』のベータ版先行やPlayStation 4オンリーのDLCなどドル箱タイトルの囲い込みを行っていますが、値段に敏感なアメリカ市場ですからマイクロソフトが6月に行った値下げに年末商戦に向けて値段を合わせておく必要があったのだと考えられます。

大型タイトルが並ぶ年末商戦では、それらのタイトルを遊ぶためにハードを買ってもらおうとソフトを同梱したバージョンがいろいろと準備されています。現在発表されている10月以降のソニーとマイクロソフトの施策を紹介しましょう:

    PlayStation 4バンドル版
    - 『Uncharted: The Nathan Drake』コレクション PS4バンドル (500 GB HDD)
    発売日:10月9日 価格: $349.99
    - 限定版『Call of Duty: Black Ops 3』 PS4 バンドル (1 TB HDD)
    発売日:11 月6日 価格: $429.99
    - 限定版『Disney Infinity 3.0: Star Wars』 PS4 バンドル (500 GB HDD)
    発売日:11 月13日 価格: $399.99
    - 限定版『Star Wars Battlefront』 PS4 バンドル (500 GB HDD)
    発売日:11 月13日 価格: $399.99
    - 『Star Wars Battlefront』 PS4 バンドル (500 GB HDD)
    発売日:11 月17日 価格:$349.99

    ※限定版はソフト以外にも特典がついているものです。
    ※上記以外カナダ限定バンドル版もあります。
    ※価格は米国価格

    Xbox Oneバンドル版
    - Xbox One限定版『Halo 5: Guardians』バンドル (1 TB HDD)
    発売日:10月27日 価格: $499.00
    - Xbox One 『Rise of the Tomb Raider』バンドル (1 TB HDD)
    発売日:11 月3日 価格: $399.00
    - Xbox One『Gears of War: Ultimate Edition』バンドル (500 GB HDD)
    発売日:11月7日 価格: $349.00
    - Xbox One 『Fallout 4 Bundle』バンドル (1 TB HDD)
    発売日:11 月10日 価格: $399.00

    ※限定版はソフト以外にも特典がついているものです。
    ※価格は米国価格。

特に北米では10月のハロウィーン、11月のサンクスギビング、12月のクリスマスと「ホリデーシーズン」と呼ばれる大型年末商戦は年間の売上の大半をたたき出すことから、この期間に値下げ、バンドルなど様々な施策を各社が展開します。年度中盤に行われるE3、gamescomなどの展示会や各社のイベントは、この年末商戦にいかに自社製品をアピールするかが目的になっているのです。

その結果が出るタイミングがいよいよやってきました。今年はタイトルがスロースタートと言われています。大型タイトルがこぞって10月下旬以降に発売されることから今年の年末商戦のヒートぶりは注目すべきでしょう。

お化けタイトルの『Call of Duty: Black Ops 3』、『Fallout 4』はもとより、今年は10年ぶりに『スターウォーズ』シリーズの映画が年末に公開されるため『Star Wars Battlefront』の期待は高まります!

来月は、10月よりもさらにヒートアップする北米市場の動向をレポートしたいと思います。
《記野直子》
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