先日行われた『Borderlands: The Pre-Sequel(ボーダーランズ プリシークエル)』の体験会で、2K Japanの担当者から本作のローカライズについて話を聞く機会がありました。
いわゆる“洋ゲー”であるボーダーランズシリーズ。プレイしたことのある方はご存知のとおり、2作目から行われたローカライズは、他ではあまり見られないかなり独特の日本語版となっています。「はっちゃけた」という表現がふさわしい翻訳がどのように行われているのか、意外と知られていないところかもしれません。
以前も少しお伝えしましたが、『2』および『プリシークエル』では、ただ翻訳するだけでなく、そこに翻訳監修をつけて世界観を描いています。その監修を一手に引き受けるのが、某日本製RPGのシナリオなども手がける、ライター・プランナーの川嵜暁氏。ローカライズマネージャーの矢野要介氏によれば、川嵜氏は「とある縁がきっかけで」2Kに関わるようになったとのこと。
矢野氏はかつて(2Kではない)某海外ビッグタイトルでローカライズを手がけたことがあり、そこで英語版の開発状況と、日本語版の発売日のはざまで、日本語翻訳の難しさに直面したことがあったそう。それがボーダーランズで翻訳監修をつけるきっかけともなっており、一人の監修者に一任することで、作品全体の世界観を統一することができたと話してくれました。
まず英語のテキストを別の担当者が日本語に翻訳し、その日本語と原文を照らし合わせながら日本版のテキストをつくるという作業工程。日本版であれだけはっちゃられたのは、英語版自体がそうだったからで、実は「それほど変えていない」とも。前作のDLCで放たれた「海賊女王に、私はなる!」というあの漫画を彷彿させるセリフも、英語からそれほど外れてはいないそう。
パロディ・オマージュにいったいどのようなものがあるのか、有志によるWikiを見てもらえればいいかもしれません。これを見ると、英語版をそのまま使うこともあれば、日本版独自の表現にすることもあるのが分かります。日本語・英語のパロディ・オマージュが渾然となったカオスな世界観が、ボーダーランズの世界観にマッチした、それを達成したのが、本シリーズのようなローカライズの手法だったといえるでしょうか。
矢野氏によれば「発売時期とローカライズの質は、トレードオフです」。以前は、海外作品が日本に到着するまでにインターバルがあり、そこで(とりわけ大作においては)贅沢で質の高いローカライズが行われていたこともありました。現在は、(ほぼ)同時発売が当たり前のように期待されており、そうなると映像がない状態での翻訳作業となり、おのずから翻訳の質に影響する、という状況。
ただ、矢野氏は「同時発売であっても遊び心を大切にした翻訳を保てるよう、一般的なローカライズ工程の見直しや改良を行っており、最終的にはそういったトレードオフを発生させないことを目標としています。今回のプリシークエルでは、一定の成果が出せたのではないかと考えています」とも話してくれました。
本当のところは、質を求めるなら「海外発売から三ヶ月くらいが一番いい(川嵜氏)」とも。なお今回のプリシーでは、2K Australiaが開発に参加していることもあって、英語がオーストラリア訛りに! これはどういう意味なんだ、なんて言ってるんだ、と日本だけでなく、各地のローカライズで「阿鼻叫喚だった」そう。
ローカライズの質と発売時期の関係については、ユーザーとしては「早く遊びたい! けど翻訳もちゃんとしてほしい!」 というのが本音でもあり、難しいところもあります。とりあえず、出来たものを楽しく遊ぶのが我々ユーザーのできることかも。
前作に続き、『プリシークエル』でもどのようなパロディ・オマージュがあり、どのようなセリフ回しがあるのか、ゲーム性とは少し離れたところも、ぜひ楽しんでみては。『Borderlands: The Pre-Sequel』日本版は10月30日発売。なおPS Vita版の『Borderlands 2』日本版も12月に発売予定です。
※一部追記しました。
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