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【第2回 京都インディーズゲームセミナー】中編: Unityで創ってみた − ライブコーディング実演

前編から引き続き高橋氏と、Unity山村達彦氏、そして『洞窟物語』の開発室Pixel 天谷大輔氏が登壇。ライブコーディングの演舞を執り行いました。あらかじめ相当程度に素材が用意されており、まったくのゼロベースから製作するという性質ではなく、あくまでゲームジャム(

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前編から引き続き高橋氏と、Unity山村達彦氏、そして『洞窟物語』の開発室Pixelから天谷大輔氏が登壇。ライブコーディングの演舞を執り行いました。

あらかじめ相当程度に素材が用意されており、まったくのゼロベースから製作するという性質ではなく、あくまでゲームジャム(通常48時間以上投入される)のエッセンスを50分で伝えるという主旨です。とはいえ、ほぼ何もない状態から次々とパーツが組み上げられていく様子は見入るものがありました。

天谷氏は単独開発で知られており、サウンド・プログラム・グラフィックすべてをこなしますが、今回はドット絵などの素材と、アイデアを提供しています。テーマは「主人公の猫が弓で魚を射止めるゲーム」。

ニャンコが出て倒す!

黙々と3人がかりで製作に取り掛かりかねないところですが、全員がプロ意識を発揮。開発にかかるトリビアや雑談で隙間時間を発生させません。

まず、新作『Gero Blaster』がiOS向けであるにもかかわらず開発環境がWindowsである理由について、十年以上使い続けてきたこと、それに伴い相応の資産が蓄積されており、Macへ移行するのが困難だからだそうです。


また、天谷氏が新作で8bitテイストを重視する理由もシンプルではありません。色数を増やせば増やすほど調整することが増えるため、リソースを他の部分に割くべく2色に抑える方針にしたこともあきらかにされました。昔(つまり『洞窟物語』)は、陰や光源をより意識していたそうです。さらに、『Gero Blaster』の製作過程で、頻繁に目にすることになる爆発アニメーションを8コマ用意してみたところ違和感が激しく、結局2コマに抑えたというエピソードも。「レトロ風」も当然に奥が深いのです。

グラフィックとそこから発生する世界観について、「天谷世界観」と表現したUnityの両氏。全体を天谷氏のアイテムで統一しなければバランスがとれないとのこと。一方の天谷氏は、「絵を描いてワクワクしているだけでいいのは新鮮」と豪快な発言。あえて今回はプログラミング部分にはかかわらなかったそうです。なお、本作はあくまで「晩飯の準備」程度のライトさであり、何かを守るためであるといった類の重さは表現していないとのこと。

リアルタイムコーディングはかなりスピーディーで、会場からはざわつき。しかし、テスト中バグも発生。コードを確認した際に一部の聴講者が「あっ。」というリアクションを示したのはなかなか趣深いものがありました。そうしたエラーの修正もデモンストレーションの一部です。


当たり判定の調整や弓の発射の挙動なども徐々に完成されていきます。本作では「弾を1個しか画面内に出せないルール」、つまりオールドゲームの定石を採用。昔は表現上の制約だった性質を、あえて文法として採用し、五月雨撃ちを禁止するゲーム性としました。

また、飛んでくる魚を猫が仕留めるという世界観が奇想天外なのではないか?という質問に対し、「そんなことはない。それをいうならスーパーマリオも変だ」と切り返す天谷氏。ただ、そうした発想力については、かつてゲームを満足に手に入れることができなかった時代、雑誌などのスクリーンショットから様々な想像力を働かせたことが役立っているともしました。

しかしそんなコーディングも順風満帆とはいかず、意外にも背景の描写で苦戦します。Unity上であれこれ苦戦しているうち、数分と待たず天谷氏が「時間は待ってくれないので」と名言を残し別作業を開始。プロ根性です。デザイナーやプログラマーが同じUnityという環境で開発することによる連携や待機時間の低減といったメリットが前面に出たともいえるでしょう。


そうこうしているうちに、残り15分ほどでほぼ完成。あとはレベルデザイン的な部分の調整です。難易度は敵の出現間隔で表現されています。そうした部分もグラフ化されており、視覚的にゲームの抑揚がわかりました。

BGMとSEが鳴った瞬間、いよいよ本格的にゲームらしくなり、会場からはざわめきが漏れました。しかし、いざ!という段階で画面外に当たり判定がなくキャラクターが世界の外へ退去してしまったり、またエラーが発生したり、ゲームクリア判定がなく終わりなき狩猟になってしまったりとリアルな笑いと涙状態に。

ともかく、完成。タイトル画面からスタート、ゲームをプレイしクリア、エンディングまたはゲームオーバーと一連の作品として成立しました。その名も『ピラニアン』。




Unityの機動力を示す意味合いもあってか、Wii Uでも動作しているとのこと。後日Unityブログに作品はアップロードされる予定ですので、『洞窟物語』ファンはぜひチェックしてみてください。


ちなみに、『Gero Blaster』について飛び出た話題、開発の進捗状況について。BitSummitで「今年の春」と言ったものの、天谷氏はクオリティ面で不満がある様子。納得できるまで創り切った『洞窟物語』とは違い、期間を決めた『Gero Blaster』をどのあたりに着地させるのかでまだ奮闘中のようです。とりあえず、今年の春は危ういとのこと。
【関連記事】【第2回 京都インディーズゲームセミナー】前編: Unityのポテンシャル、使途とは? − まずはアイデアを形に
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《Gokubuto.S》
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